いよいよ滝行!

さて滝場について杉さんがすべての手続きを済ませ、白装束を借りてきてくれた。身につたものを剥ぎとり、これに着がえたらいよいよ、滝行の開始だ。身支度を整え、おいらと杉さんと、ハナエさんの三人は、水に濡れてつるつる滑る岩場を用心しながらするすると滝の下まで何とかたどり着いた。

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さあ、滝の真下に入る。ついさっきまでは夏の名残を感じていたのに、一瞬で真冬のような冷たさだ。心臓がキュッと縮むのが分かる。上から落ちる水の勢いは、水というより、柔らかい岩というのがぴったりだった。

ものすごい衝撃が頭から、肩からたたきつける。なんとか立っているのが精いっぱいで、頭を打つ水の衝撃で、もう何も考えることができない。歯を食いしばりひたすら時間が過ぎるのを待つ。少し目を開けると、杉さんたちはまだ止める気配はない。本当はもうすぐにでも離脱したかったのだが、まだ数分も過ぎていないわけで、おいらもここは続けるしかないようだ。

どれくらいの時間が過ぎたのだろうか?もはや体は冷え切り、水の衝撃で思考は強制的に停止したままだ。本来なら、もうやめてもいいタイミングなのだが、、、さらに弱気になったときに、何か不思議なことが脳の中で起きた。重い水に打たれ、ひたすら苦行状態で、身体も冷え切っているのに、意識のどこかが目覚め始めているのを確かに感じたのだ。
ん、こ、こ、この感覚はなんだ?思考が停止し、何も考えない状態。つまり、おいらがいつも考えている日々のつまらない些細なことや、繰り返し反復し続ける過去の出来事、おいらをバカにする大嫌いな人たち、ネガティブな言葉、マイナス感情、それらはもはや、どうでもよくなっていたのだ。おいらには、今、この瞬間だけが存在していた。頭がすっきりとし始めていた。くよくよと、いままで悩んでいたことは、どれも過ぎ去った過去であり、ありもしない未来であり、そして、ただの言葉でしかなかった。確かに存在するのは、間違いなくこの瞬間だけだった。意識はいつも、幻想の中を漂っていた。

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それに気づいたとき、自分の中で何かが変わった、ような気がした。ふと目を開けると、3人同じタイミングで滝の下を離れてぶるぶると震えていた。杉さんも奥さんのハナエさんも髪の毛が額に張り付き、鼻水が滴り、水の勢いで、白装束の胸ははだけ、真っ白いおっぱいがむき出しになっていたのだが。

そして、急に目の前の現実に戻ると、さっきまでのあの不思議な、いやむしろリアルな感覚は、すでにどこかへ消え去っていた。

次回は冷凍療法に挑戦します。

キョジャッキー

キョジャッキー

大学生で1年留年中の身です。身長169cm、体重50kg。慢性的な金欠のため、日々様々なバイトおよび危ない?仕事に精を出す日々ですが、頑張っていきます!